このピアノは1870年1月19日にムジークフェラインの室内楽ホール「ブラームス・ザール」のオープニングで演奏したものです。非常に美しい装飾が施された小ぶりのピアノからは、想像通りの、上品で奥ゆかしく表情豊かな音色が紡ぎ出されます。もちろん選ばれている曲も全て彼女自身の作品。作曲家としても素晴らしい才能を有していた彼女だけあって、どの曲も濃密な情感に満ちた美しく優しい風情を見せてくれます。 ピアノはローズウッド調の美しい仕上げで、金文字で正面にJ. B. STREICHERの文字が刻まれ、さらに内部には当時のシュトライヒャー社の社長エミール・シュトライヒャー直筆による「クララ・シューマンが1870年1月に演奏した」旨の説明書きとサインがあります。